令和4年10月28日(金)19:00~
『武田信玄公生誕五〇〇年・四五〇回忌』の記念として始められました『恵林寺コンサートシリーズVol.2』、
『小山由美・フランツ・ヨッヘン・ヘルフェルト デュオ・コンサート』。
演奏者は、
小山由美(メゾ・ソプラノ)
フランツ・ヨッヘン・ヘルフェルト(ピアノ)
プログラムは、
F.J.ヘルフェルト:『芭蕉の俳句による7つの作品 Naiukha』より、
*古池や蛙飛びこむ水の音
*雲の峰いくつ崩れて月の山
J.ブラームス
*教会墓地にて
*湖にて
*いよいよ私のまどろみは浅く
*雨の歌
*永遠の愛
H.ヴォルフ
*真夜中に
*たとえ小さな物だって私たちを魅了する
*ネズミ捕りのおまじない
*その国を知っていますか
R.ワーグナー:『ヴェーゼンドンク歌曲集』より
*天使
*夢
主催:合同会社ナーブル音楽企画
共催:乾徳山恵林寺
共催:株式会社 ベビシュタイン・ジャパン / 楽器工房コンチェルト
今年5月末に行われた第1回『邂逅』はとても素晴らしく圧倒的でしたが、昨夜行われた第2回のコンサートも、ただただ感嘆するばかり...これだけの音楽世界に触れる機会は、人生において、それほどあるわけではありません。
遠路お運びいただき、冷え込みの厳しい本堂という条件下で、最高の音楽を聴かせてくださった小山由美さん、ヘルフェルトさん、万象繰り合わせてお越しいただきました皆さま、そしてこのコンサートを実現してくださった(合)ナーブル音楽企画の川口聖加さんをはじめ、関係の皆さまには心からの御礼を申し上げます。
恵林寺の本堂にピアノが入ったのは、700年近い歴史の中で初めてのこと...
この歴史的な重みにふさわしく、当日の朝から第一級の調律師によって、一日をかけて念入りに調整されたベヒシュタインのピアノは最高のコンディションで、一聴で心を奪われる繊細透明な響きが本堂に広がりました...本物のピアノの音ですね。音楽は音にはじまって音に終わる...まさにその通りです。
小山由美さんのことは、ご存じの方も大勢おられるかと思います。若い頃にワグネリアンだった私も、そのご活躍は知っていて、まさか自分がお護りさせていただいているお寺で、その生の声をお聴きすることが出来るとは思ってもみませんでした...ましてや、濃厚なロマンを湛える『ヴェーゼンドンク・リーダー』が聴けるとは...自分の中で半ば眠っていた血がもう一度脈打ち始めるような感覚がありました。
ドイツ・リートは、複雑精妙な言葉の響きが素晴らしい世界です。その独特の響きが、暖かく厚みがあって、黄金の玉が滑らかに滑るような声に乗って空間に拡がっていくのですね...ブラームス、ヴォルフ、ワーグナー...贅沢なひと時です♪
最後に、山田耕作の作品が二曲...
とても興味深かったのが、冒頭、芭蕉の俳句に寄せられた、ヘルフェルトさんの作品が2曲...
古池や 蛙飛び込む 水の音...
雲の峰 いくつ崩れて 月の山...
音への先鋭な感覚によって写しとられたような音楽で、とても新鮮でした♪ 日本文化への造詣深い方だけに、独自の視点を持っておられます。
終演後、小山由美さん・ヘルフェルトさんお二人とお話しさせていただきましたが、音楽と人生と信仰と...根本に遡って深く考えるお二人から、とても刺激をいただきました。
それにしても、これだけのコンサートを立て続けに実現するとは...とても凄いことです。
そして、第一級の芸術家であり知識人であった信玄公にふさわしいイベントがこうして開催されることが、恵林寺の歴史に刻み込まれていくことの意味を、改めて考えます。
と話しておられました。