2017年01月01日
住職挨拶:新年明けましておめでとうございます
新年、明けましておめでとうございます。
みなさま、お変わりなく健やかに新春を迎えられましたこと、謹んでお喜び申しあげます。
おかげさまをもちまして当山も、一同無事に新しい年を迎えることができました。
恵林寺では、昨年以来の課題であった防犯・防火対策強化事業が今春で一段落し、現時点では考え得る最良の防犯・防火システムを整備することができました。
今後も引き続き最優先の事業として、さらに改良を重ねながら、名刹恵林寺にふさわしいものであるように、油断なく取り組んでいく所存でございます。
一方、昨年は、毎年9月29日、30日に厳修されます『恵林寺開山夢窓国師毎歳忌』にあたり、大徳寺派管長嶺雲室高田明浦老大師、大徳寺塔頭瑞峯院前住職前田昌道和尚のご臨席のもとで、茶道表千家猶有齋若宗匠に『献茶式』をお願いすることができました。
開山夢窓国師の遺徳を偲ぶ開山忌において、国師に捧げるための献茶式を、千利休居士の「茶の湯」を脈々と今日に伝える表千家の正嫡である若宗匠に執り行っていただくこと、それも大徳寺管長臨席のもとで厳修させていただけるということは、700年近い恵林寺の歴史においても画期的なことであります。
こうしたご縁をいただくことができたのも、ひとえに「法縁」の賜であると、心から感謝する次第でございます。
なお、当日はご来賓として、真言宗智山派放光寺の清雲俊元長老、表千家同門会山梨支部支部長、副支部長、献茶道具を準備された千家の十職と千家ゆかりの職人衆、山梨県知事令夫人、甲州市長、恵林寺総代各位、夢窓国師ゆかりの名取八右衛門氏、信玄公宝物館館長ほか、関係各位の列席を得て、国師にふさわしい荘重華麗な式となりました。
また、この献茶式に合わせて「記念茶会」を開催するにあたり、夢窓国師ゆかりの『八右衛門座敷』の全面改修に取り組むことに相成りました。
工事は7月から開山忌の直前にまで及び、3ヶ月近くを要しましたが、素晴らしい職人の力を得て、当日には完成させることができ、新しく生まれ変わった『八右衛門座敷』の晴れ舞台を献茶式にあわせることができました。
新しい『八右衛門座敷』は、床の間正面の欄間に八右衛門ゆかりの家紋「立ち沢瀉」をあしらい、お茶席として利用できるように炉を設置、床の間もお茶室の設えに変更いたしました。
そして、長い間、物置として使われておりました隣室、『茶頭寮(さずりょう)』は、改めてお水屋として改造いたしましたので、豪壮であるがゆえに、部屋としては取り回しが難しかった『八右衛門座敷』は、豪壮な部屋の雰囲気はそのままに、お茶室として縦横に活用できるように生まれ変わりました。
結果として、開山忌以後も、11月には恵林寺主催による『恵林寺茶会』、12月には表千家同門会山梨支部の主催による『年末茶会』のほか、茶道の研修会にも活用されており、さらにはこの12月10日から、新しく『恵林寺親子お茶教室』が開催できることになりました。
引き続き今年も、この素晴らしい『八右衛門座敷』がお寺の顔として活躍してくれることが、とても楽しみです。
このほか昨年は、毎週土曜日午前6時からの『恵林寺坐禅会』、第2日曜日午後3時からの『恵林寺日曜坐禅会』、第2日曜日午後1時からの『写経会』をはじめ、毎年恒例の行事である、4月の『快川国師毎歳忌信玄公忌』、5月の『花祭り』、8月の『施餓鬼法要』のほか、3月と10月には『第四回 恵林寺講座:平山優先生に聞く武田信玄公 品第一』そして『第五回 恵林寺講座:武田二十四将シリーズ第一弾・「御一門衆 武田信繁・信廉を中心として」:「武田不動尊像について」』がそれぞれ開催され、5月には表千家流宗芳会による『第4回 恵林寺茶会』、7月には自衛隊幹部有志による『第2回 恵林寺合宿研修』、8月に『第5回 山梨大学表千家茶道部恵林寺合宿』、9月には住職が講師を務める、東京丸の内 慶應MCC講座『禅の智慧』受講者有志による『第2回 己事究明会合宿』、10月には花園大学歴史博物館館長の福島恒徳教授の協力を得て『第1回 恵林寺曝涼展(ばくりょう:虫干し)』、11月には主として県外からの参加者を対象とした『第1回 恵林寺文化講座』がおこなわれました。
私自身も、昨年は恵林寺住職として、引き続き禅文化研究所から発行されている雑誌:季刊『禅文化』に『禅の見方、考え方』という表題で連載を続けさせていただいているほか、5月から7月末までの東京丸の内『慶應MCC講座:禅の智慧』の講師を、 5月にはご縁をいただいて、NHK(Eテレ)『SWICTHインタビュー達人達:立川談春×古川周賢』出演、これは幸いなことに大変好評で、6月には再放送されております。
9月には東京日本橋ベル・サールにおける『アイ・ラーニング フォーラム 2016:学びでつなぐ~IT・人・未来』で2回の講演、10月には甲斐大和の天目山栖雲寺『開基 武田信満公の六〇〇年遠諱法要』の導師、11月には山梨県生涯学習推進センター主催による『平成28年度 山梨学講座:武田氏ゆかりの文化財』(全4回)のうち『第4回:恵林寺』の講師、12月には恵林寺を会場にした『第136回 りそな会:講演会 禅の心』の講師、同じく、NHK文化センター横浜ランドマーク教室において講座:『「禅」その生き方の本質とは何か。』の講師を務めさせていただきました。
数々のご縁をいただき、本当に有難いことと思います。
もともと恵林寺は、開創以来、歴代住職が勅命(天皇の命)を奉じて入寺をし、広く関東方面に向けた宗風発揚のための布教の最前線としての位置づけをもっており、今日においても、県内県外はもとより、国の内外に向けた教線の展開を期待されている名刹です。その重責を全うできますように、非力菲才の身ではありますが、今年も精一杯、幅広い布教活動に邁進する決意を新たにしております。
最後に、今年1年が素晴らしい年になりますように、皆様のご健勝を心から祈念いたします。
恵林寺住職 古川 周賢 合掌
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