2021年04月14日
山梨県立博物館 特別展『生誕五〇〇年 武田信玄の生涯』展に、武田不動尊 三尊像 が出展されました...
山梨県立博物館の特別展『生誕500年 武田信玄の生涯』展に、本日4月14日から、恵林寺の寺宝『武田不動尊三尊像』が出展されました。
この不動尊像は、去る2月15日に、この展覧会出展のための調査のおり、像内に銘文が発見され、元亀3年4月の作で、作者は仏師康住と判明したばかりのものです。
既にお伝えしましたとおり、元亀3年は信玄公が亡くなる前の年です。
このはっけんにより、この「武田不動尊像」が、生前の信玄公のお姿を写したとされる寺伝が裏付けられたことになります。
今回の展示は、不動尊本体・光背のみならず、勢多迦童子・矜羯羅童子の二体の脇侍、不動尊像の台座も含めたもの。
狭いお寺のお堂とは異なり、広くスペースを空けて配置された三尊像の圧倒的なスケールも実感していただくことができます。
この規模での展示はこれまで行われておらず、恵林寺の歴史上でも初めてのこととなります。
会期は、5月10日(月)までです。
この機会に、ぜひお運びください。
住職 古川周賢老大師は、
『武田不動尊像』は、信玄公の生き写しという寺伝があり、長く秘仏として、一般の皆さまの目に触れる機会が極めて稀であったものです。
戦後、恵林寺が拝観寺院として、皆さまに親しんでいただくことになってから、何度か「出開帳」というかたちで寺外にでたことがあるのですが、台座、脇侍を含めたその全体が恵林寺から外に出て展示されるということは、恵林寺の歴史の中でもおそらく初めてのこととなります。
住職として、不動堂から外に出して展示する、ということについては、葛藤がなかったかといえば、嘘になります。
長く秘仏として大切に護られてきた仏様ですから、そうした先人の思いはとても大切です。
しかしながら、さまざまな調査を通じて、この不動尊像の事がわかってくるにつれ、見えない部分の細部まで、念入りに、繊細に仕上げられたお姿は、ただ丁寧に作るとか、職人の意地やこだわりとかいったこととは遙かに一線を画すものであり、ひとえに圧倒的な情熱の賜物であり、願主である信玄公と、それを受けて製作にあたった仏師たちの篤い信仰のなせる業である、と思うに至りました。
作品の圧倒的な完成度は、信仰のものによるのだということです。
コロナ禍の不安で社会が動揺し、先行きの見えない中で誰もが不安を感じているこのような折にこそ、圧倒的な信をもってこの像を作り上げたひとたちの篤く崇高な思いを感じ取っていただければ、こうしてお寺の外にお出ましいただくことにも大切な意味があるのだ、と思っております。
この機に、一人でも多くの皆さまのお越しを願っております。
と話しておられました。
カテゴリ−: お知らせ,特別行事