2024年12月08日

恵林寺12月特別朱印『成道会』記念朱印をおわけいたします...

恵林寺の12月特別朱印は、12月8日釈尊のお悟りと修行の成就を記念する『成道会じょうどうえ』を記念して、『成道会記念朱印』といたします。

 



いつのことなのか、正確なことは伝わっていないのですが、今から二六〇〇年ほど昔の、ある年の12月8日の早朝、夜を通して坐禅を続けていたお釈迦様は、夜明けの空にひときわ明るく輝く金星(明けの明星)を見上げ、


 なるかな、奇なるかな、
 一切衆生はことごとく、みな如来の智慧徳相ちえとくそう具有ぐゆうす。
 ただ妄想執着あるがゆえに証得せず...


何と素晴らしいことか、何と素晴らしいことか、
すべての生きとし生けるものは、みな、ありのままの姿で、そのまま光り輝くように素晴らしいではないか。

ただ、自分の欲望や執着によってしか見ようとしないから、それがわからないだけなのだ...

と言われたといいます。

わたしたちのこの肉体は脆く儚いものです。どれほど科学技術が発展しても、「生老病死しょうろうびょうし」とよばれる根本的な苦しみを完璧に無くすことはできません。
ただ、わたしたち一人一人のこころのあり方によって、その苦しみははるかに減り、人生の喜びは大きく増すことになります。大切なことは、苦しみを学びと智慧に変え、喜びを慈しみに変えて皆と分かち合う工夫です。


日本中の禅寺では、このお釈迦様のお悟りに感謝し、その智慧をわがものとして引き継ぐために、毎年十二月一日早朝から、お釈迦様がお悟りを開かれた十二月八日の夜明けまで、一週間横にならず、不眠不休の「臘八大攝心ろうはつだいぜっしん」という厳しい修行をおこないます。
「命取りの大攝心」と呼ばれるほど厳しいこの修行が終わり、明け行く大空に輝く明けの明星を見つめる時の安堵と喜び、そし修行をやりとげさせていただいたことへの感謝の思いはひとしおです。
今年も、大勢の修行僧たちが真摯な眼差しでこの明けの明星を見つめることと思います。
恵林寺にお詣りされた皆さまにも、ぜひ、お釈迦様の得られた気付きとお悟り、そして「奇なる哉」と口をついて溢れ出た驚きと喜びへと思いを馳せていただきたいと存じます。


            恵林寺 山主 謹白

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